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2021年04月18日

「 ホームステイ 2 」

私が通っていた学校の生徒は、イタリア、ブラジル、オーストリア、スイスなどヨーロッパからの留学生が90パーセントを占めていた。アジアからは、徴兵を終えた韓国人や、日本からは東大医学生や慶応ボーイ、はたまたディズニーランドのミニーマウスだった女性までと様々。クラスはレベル別の50分授業。学校内には、「Only English (自国語禁止)」の張り紙。入学式の直後に行われたレベルチェックテストでたまたま上級クラスに入ったのが運のつきだった。

「Use the present perfect progressive and future perfect progressive ・・」

(現在完了進行形と未来完了進行形を用いて・・)

と言われても、・・ちんぷんかんぷん。

宿題を出されているのは分かるが、一体何をしていいのか分からない。仮定法過去完了が・・など英語で聞けば聞くほど具合が悪くなった。

とにかく出された宿題の読解に必死。

教科書とノートを持ち歩きアメリカ人の友達に質問しまくり。

夜遅く帰宅するホストマザーや見知らぬ通行人をつかまえては質問しまくり。

更には早起きに早起きを重ね、朝6時にはカフェに入り、お客さんにまで自分の宿題チェックをさせる始末。

(たった$1のココアで1時間はねばった・・)まさに旅の恥はかき捨て。

文法の授業には悩まされたが、学校は土日もいらないくらい大好きだった。

ホームステイ先に戻ると、自分の部屋には電球一個と大きく穴の開いたマットが一つ。

相変わらず、うさぎの毛と糞が散乱するキッチンには2匹のウサギが歩きまわり

のどが渇いても冷蔵庫には青色や赤色のジュース。

「・・・・・・。」 

「飲めない・・。」

『お茶』で育った私には、とうてい恐くて無理。

仕方なく水道をひねると、ヌルヌルとした水が出てくる。

「腐ってる・・。」

お腹が空いて冷蔵庫を開けても何やら奇妙な食材が凍っているだけ。

床に置いてある段ボールからは、大きなドブネズミが飛び出してきた。

もう、絶句。

ホストマザーが買い物も家事もしない為、お金のない私はいつも空腹。

何せ、あれだけ日本でダイエットしても痩せなかった私が、1ヶ月で5キロ痩せた

ウサギに続きネズミと水問題。雑草のように育てられた私も、これにはさすがに参った。

〔参考までに、学校に支払うホームステイ代金は、朝・夕食がついて一ヶ月、約82,000円ほど。

部屋を提供する家庭は経済的に苦しく、こういった副収入が目的の所が多く、食事は毎食「ハンバーガー1個」なんていうのも珍しくはない〕

家に帰るのがイヤで閉校まで図書館で時間を潰し最終バスに乗る。

土日も朝から出掛け、夜まで戻らない、まさに留学生にしてプチ家出状態。

悲惨といえば悲惨だが、逆に勉強には集中できた。

こんな家だから眠れず、何もない部屋でする事といったら勉強か読書くらい。

帰りたくないがために毎日カフェで時間を潰し、積極的に話しかけていたらアメリカ人の友達がたくさんできた。

友達と一緒に過ごす時間を増やす事で会話の勉強をし、分からない事があればすかさず聞いてメモをした。

貯金は自己投資と人につかった。留学すれば英語を話せると思ったら大間違い!!

絶対努力をしなければ話せるようになんかならない。

「こんな貴重な経験と日々は二度と来ない」と思っていたからこそ、一分も無駄にしないで過ごすことができた。

今でも思う。

いつも空腹で欲しい物も満足に買えなかったけれど

あんなに最高に幸せで充実した日々はなかった。

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